先輩の声

留学生からコメント

2009年度入局 中道 亮先生

中道亮先生

サンディエゴ留学報告

2019年2月よりサンディエゴのThe Scripps Research Institute(スクリプス研究所)に留学させていただいております。スクリプス研究所はこれまでに計4人のノーベル賞学者を輩出しており、イギリスの学術雑誌ネイチャーが2017年に行った世界の研究機関がどれだけ特許に影響する研究成果をあげたかのランク付けでは世界1位を獲得している名門研究所です。

私の所属している研究室はMolecular and Experimental Medicine(MEM) のProf. Martin LotzのArthritis Research研究室の中にあるAsaharaグループです。Martinラボはフレッシュカダバーの膝関節を長年研究して軟骨のデータをライブラリー化しているラボで変形性関節症の基礎研究で世界をリードしています。ラボのメンバーは教授のMartinを筆頭に研究員が2人、ポスドクは6人(うち2人はAsaharaグループ)、テクニシャンがパートを含めて4人です。国籍はアメリカ以外にドイツ、スペイン、中国、日本と多国籍です。就業時間はだいたい9時から17時です。テクニシャンは定時で帰りますが、ポスドクは夜遅くまで実験をしたり、データをまとめたりしています。

ラボ全体のミーティングは毎週水曜日朝8時半からで、担当者一人がプログレス報告をします。1か月半から2か月に一度ほど回ってきますが、プレゼン30分とディスカッションなので準備が結構大変です。土日は実験を入れない限り休めるので好きなことができます。

私は主にマウスやラットといった動物をモデルに腱、靭帯、軟骨、筋肉と筋骨格系組織を網羅的に研究させていただいておりますが、そのほかにも豊富なヒトサンプルを使った研究が多数行われており、それら研究を一緒にさせていただけることは私にとって大変貴重な経験になっています。また、近隣の研究所(スクリプス研究所の周りにはソーク研究所、バーナム研究所、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)や企業の研究施設が集結している)との交流も盛んで、UCSDやソーク研究所で行われるセミナーや講演の案内がメールで回ってくるため、興味深いものがあれば気軽に参加することができるし、共同研究や実験手法を学びに行くことも可能で研究生活をする上で最高の環境です。

サンディエゴは、年間を通してほとんど雨が降らず、日中は夏で30℃まで上がりますがカラッとしているため日本のような蒸し暑さはなく、冬でも18℃程度という温暖な気候です。太平洋に面しているためサーフィンやボディボードといったマリンスポーツが盛んで、またゴルフ、サイクリングなどのメッカでもあります。またアジアやヒスパニック、日本など色々な国をベースとした人も多く暮らしており、人も暖かいのが特徴です。

サンディエゴの風土、研究環境は最高です。日本人にとってアメリカ留学の壁は英語、食事ですがサンディエゴでは心配ありません。基礎研究を海外でやってみたいという研修医や大学院生の先生にはサンディエゴをお勧めします。

女性医師からコメント

2008年入局(岡山大学整形外科 2003年卒) 鉄永 倫子先生

鉄永倫子先生

女性医師の皆様~岡山大学整形外科でご一緒に働きませんか

女性医師の皆様こんにちは。

岡山大学整形外科の鉄永と申します。整形外科に入局し、16年目を迎えております。その間に、整形外科医の夫と結婚し、2人の小学生の男の子の子育て中でもあります。

今まで整形外科を続けられたのは、尾﨑教授、前医局長野田先生、現医局長島村先生、医局・同門の先生方のお心遣いがあったからだと思います。整形外科を諦めない、続けられる環境作りをトップの方々が作ってくださったことで、関連施設に派遣されていた時も、大学で勤務している時も私のことのみならず子供たちのことについて周りの方々が自分のことのように聞いて下さり、会での託児の設置などご配慮いただきました。

岡山大学では、女性医師に対するキャリアサポート「MUSCATプロジェクト」があり、それぞれに合った働き方を一緒に模索し、実行してくださいます。また、色々な子育ての悩みや仕事の悩みなどを語り合うこともでき、一人ではないという気持ちを強く持つことができ助けられました。そのサポートを、子供たちが小さな時は利用させていただき、今は自分の経験を他の子育て中の女医さんに伝えられたらと時々顔を出させていただいております。 整形外科は、手術、リハビリ、救急、疼痛コントロールなど分野も多岐にわたり、その中で自分自身が興味の持てることがきっと見つかると思います。私自身は、運動器の長引く痛みの方々の集学的なアプローチをライフワークとしております。多職種連携できることで、他の職種の方々との関りもあり日々充実しております。

整形外科に進もうか迷っている学生さんや女性医師の方々、岡山大学整形外科の門をたたいてみてください。きっと後悔のない人生が待っていると思います。お会いできること楽しみにしております!!

大学院生からコメント

2012年入局 松橋 美波先生

松橋美波先生

H24年入局の松橋美波です。H22年香川大学卒業後、神戸赤十字病院で初期研修を行い、神戸赤十字病院整形外科での後期研修を行うにあたり岡山大学整形外科に入局しました。岡山済生会総合病院整形外科勤務を経て大学院に入学し1年間の臨床勤務後の現在、研究を開始しています。

大学卒業時は必ず整形外科医になろうと思ってはいませんでしたが、初期研修病院で尊敬する上司や先輩の下で働けたことから整形外科に興味を持ち、流れに流され今に至ります。岡山大学整形外科は入局者数が毎年15人程度いるため他大学出身者も多く、何の違和感もなく過ごしています。整形外科は女性医師の割合が少ない科のようで、珍しいねと言われることは度々ありますが、特別な苦労や不利な点はなく(体育会系のノリが多いことは確かですが)、誰でも興味があれば遠慮なく整形外科を選択していただければと思います。岡山大学整形外科には年に1~2人女性入局者がいるため整女会という男子禁制のお食事会があります。諸先輩方はそれぞれのペースで仕事に取り組まれており、色々なロールモデルがあることがわかります。覗きたい方がいればご相談下さい。(笑)

今の大学院生としての生活ですが、 関節リウマチチームでの基礎研究を行いながら、リウマチ・上肢・外傷といった自分が興味を持っている臨床分野での臨床研究や学会発表に取り組む毎日です。大学院に入学するメリットは、市中病院では経験できない症例をみること、また臨床症例に対して日頃からデータを蓄積していく過程、データ処理や統計処理方法等、様々なことが勉強でき経験できることだと思います。さらに(最終的に一番大事だと思うのですが)多くの先生方と、縦にも横にも繋がりができます。一時的に手術や臨床の経験数自体が減ることは否めませんが、長く医師を続けるにあたって、知見を広げ疾患に対して研究的な視点から考える時間や、様々な考え方や手術手技を学ぶ機会を得ることができる有意義な期間だと、日々感じています。これから整形外科入局や大学院進学を考えている先生のご参考になれば幸いです。

2013年入局 沖田 駿治先生

沖田駿治先生

平成25年入局の沖田駿治です。平成23年岡山大学を卒業、津山中央病院・岡山市立市民病院で行った後、平成28年より岡山大学病院での勤務を開始いたしました。

一般に岡山大学整形外科の大学院では1年目では臨床研修を行い、2年目以降は各グループに配属し本格的に基礎研究を開始します。1年目の臨床研修では病棟業務を通じて市中病院ではなかなか見ることのない症例・手術を経験します。2年目からは配属先のグループの上司と相談の上、研究を開始します。私は関節リウマチグループに所属し、関節リウマチグループのボスである西田先生が平成29年度まで人体構成学教室(旧第二解剖)の所属でおられた縁もあり、御遺体を用いた解剖の研究を行わせていただいております。

現在は週2日程度外勤に行かせていただいており、そちらでは外来、手術手伝いが主な業務となります。大学病院内では研究の他に、外来シュライバー業、グループのお仕事(手術のスケジュール管理、データベース作成等)、手術見学やお手伝い、カンファレンスへの参加などを主に行っております。

大学病院・大学院生と聞くと漫画やドラマの影響で低収入・過酷な業務という印象をお持ちの方がおられるとは思いますが、幸いそのようなこともなく皆様に心温かい指導をしていただきながら勉強をし、子育てのお手伝いもたまにはしながら充実した日々を過ごさせていただいております。

まだ在学中ではありますが、個人的に大学で得られた大きな財産といえば、「人脈」と「論文・発表の吟味の仕方」です。「人脈」に関しては、現在でも外勤先などで困った症例があった際に実感しますが、専門家にすぐに相談することができる安心感はやはり絶大です。後者ですが、まず論文や発表などで得た情報が必ずしも正しいわけではないのだと知ることから始まりました。material & method、resultをよく読んでいると著者が隠したいこと、不都合なことがあるな!と気づくことがちょこちょこと増えてきました。

これら以外にも外来のやり方、手術のやり方・戦略、学会発表の仕方など大学院で学べることを挙げだせばきりがないと思います。大学院で学んだことは将来の診療にも非常に役に立つと考えております。拙文で大変恐縮ですが、これから大学院進学を考えておられる先生方の参考となりましたら幸いです。

2013年入局 辻 寛謙先生

辻 寛謙先生

2009年卒、2013年入局、2017年大学院入学の辻 寛謙です。

現在私は大学院2年生で脊椎グループに所属し、本格的な基礎研究という形で免疫病理/第一病理にもお世話になりながら研究を行っております。

大学院に入って良かったと思うことは一言で言うと「知見の拡大」だと思っております。私は今まで市中病院を研修させて頂きそれなりに忙しくしてきたつもりですが、院生1年目には大学病院でしか行われていない最先端の治療とふれあう機会も持てましたし、さらに各グループの先生から学ばせて頂く機会も多く、今後の臨床での幅の広がりを感じております。現在2年目で基礎研究を行っておりますが、基礎分野は恥ずかしながら分からない事だらけで必死に勉強して知見を深めているのが実際です。実験理論、方法からデータ解析、論文作成方法など様々な分野の力が必要で、必然的に読む参考書や論文の数も増え学びの毎日です。そして学んでいく内に今まで聞いても全然頭に入ってこなかった難しい基礎分野の単語や講義が不思議と頭に残るようになってきたことも実感しており、これも成長と自分では勝手に理解しております。また自分に足りない部分を補う良いチャンスだと考え最近では英語の勉強をしたり、関連学会のセミナーにも積極的に参加したり、将来への投資を行っております。

逆に臨床勘が鈍るのでは?という心配があると思いますが、大学病院では様々な手術が行われており、それらすべての見学をさせて頂く機会は十分にあると思いますし、私個人として現在は将来へ向けて力を蓄える時間だと考え日々過ごしております。

なお、生活面においても、各学年6-8人いる大学院生全員が生活に困らない水準の収入を得ており、経済面でも非常に満足しております。海外留学されており先輩方も多数いらっしゃり、チャンスがあれば是非私も行かせて頂きたいと考えております。

整形外科は専門医制度変更という過渡期の時代だと思います。しかし学びの姿勢は医者を続けるにあたって普遍的でいつの時代も力になる事だと思います。ご自身が成長されるチャンスに少しでもご興味があれば是非近くの先輩とご相談され、入学をご検討されてはいかがでしょうか。